カテゴリ:未分類( 74 )

林真理子のNEWS

■『マリコ、カンレキ』(文藝春秋)文庫化

d0339881_19031917.jpg

2015年に刊行された、人気連載コラム「夜ふけのなわとび」の第28弾が文庫になりました。少し前、2014年の世の中とマリコさんの姿がこの1冊でバッチリ。
巻末には、「『花子とアン』誕生秘話」という中園ミホさんとの対談も収録されています。


詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて



■『フェイバリット・ワン』(集英社)文庫化

d0339881_10484084.jpg

マリコさんが、大ベストセラー『野心のすすめ』の小説版と形容した2014年の刊行作品が、持ち運びにも便利な文庫になりました。『MORE』(集英社)に連載されていた、23歳の駆け出しの服飾デザイナー・夏帆の甘くて苦いシンデレラストーリー。驚愕の結末に想像力をかきたてられます。

詳細を見る



■『我らがパラダイス』(毎日新聞社)刊行

d0339881_19025284.jpg


昨年の毎日新聞連載時から話題を呼び、既に映画化も決まっている長編小説「我らがパラダイス」が単行本になりました。


舞台は、親の介護問題を抱える普通のアラフィフ世代3人の主人公が勤務する、超高級介護付きマンション。格差社会と介護問題というシビアな問題を細やかに描写しながら、大胆なストーリー展開で面白おかしく一気に話は進んでいきます。


エンタテイメント性抜群で、老人介護小説とは思えない驚きのエピソードの連続。いい老後を迎えるとは?を考えさせられます。


連載を読んでいた人はもちろん、未読の方も「貧者の逆転劇」にご注目!


詳細はこちら

アマゾンにて

セブンネットショッピングにて



■『下衆の極み』(文藝春秋)刊行

d0339881_16010463.jpg

連載33年目の人気コラム「夜ふけのなわとび」の最新単行本が刊行されました。2016年の『週刊文春』に掲載分が一挙に読めます。これで、2016年の動向が早わかり!連載誌『週刊文春』に対しても鋭いマリコ節が炸裂。読みごたえのあるシリーズ30作目となっています。

巻末には、柴門ふみさんとの対談「『不倫』はやっぱり文化だ」も掲載されています。


詳細はこちら

アマゾンにて

セブンネットショッピングにて



■『突然美女のごとく』(マガジンハウス)文庫で発売中


d0339881_18425344.jpg

『アンアン』での連載エッセイ「美女入門」のシリーズ12作目が、
手に取りやすい文庫になりました。

「美女入門」シリーズの写真集『桃栗三年美女三十年』刊行もあり、
いつも以上に“美女”に磨きをかけるための入魂の日々が、楽しくユーモラスに描かれています。


詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■ 『賢女の極意』(文藝春秋)刊行


d0339881_18183929.jpg

『週刊文春』で連載中の30年を越える名コラム「夜ふけのなわとび」(連載開始時は「今夜も思い出し笑い」)の中で生まれた金言や名言が、126に厳選されて読みやすいコンパクトな書籍になりました。
 旺盛な好奇心と繊細な感性で、日々の生活を鋭く洞察した言葉の数々は、元気や勇気を与えてくれるはず。活字が苦手だけれど読んでみたい、という人にも優しい1冊です。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて



■『私のスポットライト』(ポプラ社)刊行

d0339881_19063057.jpg

d0339881_19065192.jpg

ポプラ社から『秘密のスイーツ』に続く児童書第二弾が刊行されました。
見た目も成績も“フツー”の中学生が、児童劇団に入ると……。

児童書版では、「夢」を見つけた少女の奮闘ぶりが、挿し絵のイラストたっぷりで楽しめます。
一般書版では、お母さん視点の章が巻頭と巻末にあるので、親目線で読み進めることができます。

“フツー”でいようとする子ども達が増えた今を切り取った作品です。


詳細を見る

・アマゾンにて(一般書)

・アマゾンにて(児童書)

・セブンネットショッピングにて(一般書)
・セブンネットショッピングにて(児童書)

■『六条御息所 源氏がたり』小学館文庫で刊行

d0339881_18464986.jpg


d0339881_18471589.jpg

『和樂』で4年半に渡って連載された、マリコ版源氏物語が手に取りやすい文庫になりました。

世界最古の恋愛長編小説に描かれる平安貴族の心情が、現代の私達に理解しやすく描かれています。
生霊になってしまう六条御息所が物語の語り部になっている、マリコ版源氏物語の世界をご堪能ください。


詳細を見る


・アマゾンにて

・セブンネットショッピングにて
上巻
下巻



■『美を尽くして天命を待つ』(マガジンハウス)刊行

d0339881_18190759.jpg

『an・an』に連載中の、読む美容液ともエステともいわれている「美女入門」シリーズの最新刊、第14弾です。
 美食、ダイエット、ショッピング…女性の“気になる”に迫った日々が綴られています。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて



■2018年のNHK大河ドラマに決定!


再来年のNHK大河ドラマが、「西郷(せご)どん」に決まりました。

これは、現在、本のPR雑誌『本の旅人』(KADOKAWA)に連載中の「西郷どん!」が原作で、
脚本は中園ミホさんが担当されます。


詳細を見る


■ 緊急復刊『朝日ジャーナル』(朝日新聞出版社)に対談掲載中


d0339881_10483903.jpg


「リベラルへの最終指令」と題され、『週刊朝日』臨時増刊として、『朝日ジャーナル』が緊急復刊されました。
様々な論点が掲載されています。
「神々のそれから」と題した、島田雅彦さんとマリコさんの対談が、4ページに渡り掲載されています。
かつて『朝日ジャーナル』で、「若者たちの神々」という連載をしていたふたりが、「神々の黄昏」となった今、語る内容に注目です。


詳細



■『女の七つの大罪』(KADOKAWA)刊行

d0339881_19511088.jpg

雑誌『ダ・ヴィンチ』での2015年2月号での掲載が好評で、9月号から連載になった対談が単行本になりました。女性の本音について、小島慶子さんとマリコさんが激論を交わしています。様々な欲望を知ることで、強く、美しい女性になれるかもしれません。


詳細

アマゾンにて

セブンネットショッピングにて




■『マリコノミクス』(文藝春秋)刊行


d0339881_13473707.jpg

32年目!に入った『週刊文春』連載エッセイをまとめた第27弾『決意とリボン』が、新たなタイトルになり、文庫化されました。2013年のマリコさんも東奔西走、大忙しです。


詳細を見る

アマゾンにて



■『マリコ炎上』(文藝春秋)刊行

d0339881_18180162.jpg


32年目!に入った『週刊文春』連載エッセイをまとめた第29弾!なぜ思ったことを言うと不謹慎になるのか?様々な議論を巻き起こした「お母さん、お願い」などを収録。好奇心と感性のアンテナを張り巡らせ、覚悟を持って綴る、切れ味鋭いマリコ節をご堪能ください。

詳細を見る
セブンネットショッピングにて


■『ビューティーキャンプ』(幻冬舎)刊行

d0339881_18240649.jpg


『GINGER』に連載していた、”世界一の美女”を目指す女性達の姿をリアルに描いた「BEAUTY CAMP」が単行本になりました。
誰もが知っている華やかなミスコンの、知られざる壮絶な世界に足を踏み入れてみると……。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて

■『美女と呼ばないで』(マガジンハウス)文庫化

d0339881_18241683.jpg


『an・an』の大人気エッセイ「美女入門」のシリーズ第11弾が、手に取りやすい文庫版で刊行されました。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『きものSalon』(世界文化社)2016年春夏号にグラビア掲載中

d0339881_19481730.jpg

「林真理子さんのきものワードローブ」と題し、マリコさんの素敵な着物姿の写真がたっぷり!


詳細を見る



■毎日新聞朝刊で「我らがパラダイス」連載中!
2009年に連載されていた「下流の宴」同様に、現代の格差社会 に深く切り込みます。前回は“若者”をテーマにしていましたが、今回は“高齢者問題”がテーマです。
悲惨な現実や精神論が多い、深刻な介護の問題が、ユーモアと驚きたっぷりに描かれていきます。いい老後を迎えるために、迎えさせるために戦おうとする人たちの物語をお見逃しなく。

毎日新聞 http://mainichi.jp/


■現在発売中の『婦人公論』(中央公論新社)にお祝いの記事を掲載中

d0339881_18544914.jpg

「100周年に寄せて」という題で『婦人公論』にご縁のある方々が、
思い出や今後に期待することを語っています。
マリコさんは「生き残るものは、変化するもの」と題したメッセージを寄せています。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて

■『日経ビジネス アソシエ』12月号(日経BP社)インタビュー掲載中
d0339881_15454167.jpg

編集長インタビュー「トップランナーに聞く」で「『野心で人生は変わる』。そう語りかける、林真理子さん自身のマイストーリー」と題したインタビュー記事、履歴書、座右の銘などがカラーで掲載中。「平凡な人生はひとつもない」と語っています。
詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『HERS』11月号(光文社)に対談掲載中
d0339881_13445432.jpg


現在発売中の『HERS』11月号(光文社)の、南果歩さんの連載「あの人が気になる」のゲストがマリコさんです。カラー4ページに渡る対談が掲載されています。50代の過ごし方、夫婦関係など多岐に渡る内容が、美しい写真と共に展開されています。

詳細を見る


■『過剰な二人』(講談社)刊行
d0339881_17285786.jpg


『野心のすすめ』のサイドストーリーともいえる一冊が完成しました。作家林真理子誕生を支えた編集者見城徹さんとマリコさんのエッセイが往復する形で綴られた本作は、まさに「人生の教科書」。16年の絶縁期間があったことを知る人も知らない人も、手に取る価値大です。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『女文士』集英社文庫で新刊

d0339881_17285728.jpg

新潮社文庫での発売から17年ぶりに、装いも新たな文庫版が集英社から発売されました。昭和初期のスキャンダラスな女流作家、眞杉静枝の狂おしくも激しい、そして哀しい一生を描いた作品です。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『マイストーリー 私の物語』(朝日新聞出版)刊行
d0339881_17285886.jpg
自費出版をテーマに、2014年5月1日~2015年3月31日まで『朝日新聞』の朝刊に連載されていた小説が単行本になりました。「人生の主役」になろうとする人たちを鋭く描き出しているのはもちろん、現在の出版業界事情も丁寧に描かれた一冊。あなた自身の「マイストーリー」を考えさせられる作品です。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■「日経ウーマンオンライン」(日経BP社)にインタビュー掲載中


「“ちょっと心が苦しいな”と感じた時は…」と題して、“負の感情”を拭う方法や、「人を羨んでいると、自分の一番大切なものが削れていく」と語っています。webでの2ページに渡るインタビューは、近影の写真も4カット掲載されています。

日経BP社の記事を見る


■『本を読む女』集英社文庫で新刊

d0339881_10560476.jpg

新潮社文庫での発売から12年ぶりに、装いも新たに集英社から文庫版が刊行されました。
マリコさんのお母様がモデルの小説で、読書だけを心の糧にして、激動の昭和を懸命に生き抜いた文学少女・万亀の半生を描いた長編小説。
2003年に菊川玲さん主演でNHKでドラマ化もされました。
とても大切な作品とのことで、マリコさんの自選ベスト5の作品に必ず入っています。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『来世は女優』(文藝春秋)文庫化

d0339881_10560411.jpg


『週刊文春』(文藝春秋)で好評連載中の「夜ふけのなわとび」を一冊にまとめた第26弾が、読みやすい文庫になりました。
写真集撮影や盛岡文士劇出演裏話など話題は盛りだくさん。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『美女千里を走る』(マガジンハウス)刊行

d0339881_10560428.jpg


『an・an』(マガジンハウス)で連載中の「美女入門」。
シリーズ第13弾が『美女千里を走る』として刊行されました。
2013年のマリコさんの華麗な美女生活を振り返ってみましょう。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『中島ハルコの恋愛相談室』(文藝春秋)刊行
d0339881_10560445.jpg


『オール讀物』に連載されていた、「中島ハルコの身の上相談室」が単 行本になりました。

厚かましさ世界一の52歳のオバサン“中島ハルコ”とパリで遭遇した38 歳の“菊池いづみ”。
いづみを始め、様々な人が男女のもつれた恋愛、仕事、生き方、母娘関 係、教育……、あらゆる悩みをハルコに相談。上から目線の物言いで バッサバッサと斬りまくられると、なぜか元気になれる!

誰かに喝を入れられたい!叱られたい!人はもちろん、読み手が皆元気 になれ、ためになる一冊です。

詳細をみる
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて

■『マリコ、カンレキ!』(文藝春秋)発売中

d0339881_10560484.jpg


2014年のマリコさんの動向と社会の流れがこの一冊でわかってしまいます!
還暦を迎えても、「思い切りチャラいおばちゃんでいよう!」と攻めるマリコさん。読後の爽快感がたまりません。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『STORY OF UJI 小説源氏物語』(小学館)刊行

d0339881_10560489.jpg


雑誌『和樂』 で連載されていた人気小説が一冊完結の単行本になりました。

平安貴族が繰り広げる三角関係の恋愛模様が描かれた「源氏物語 宇治十帖」が、
平成の現代にリアルに甦ります。世界最古の恋愛長編小説が1000年前の夢物語ではなく、現代に生きる私たちの恋愛物語となっています。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『「美」も「才」も うぬぼれ00s』(文春文庫)発売中

d0339881_10560480.jpg

『週刊文春』連載30年目突入記念、大人気エッセイの選り抜き集の第3弾が発売。
50代に突入したマリコさんの、ミーハー×パワフル×鋭い視点のエッセイも連載1000回を迎え、仕事も遊びも全力投球、名言満載です。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『「中年」突入! ときめき90s』(文春文庫)発売中

d0339881_10560459.jpg


『週刊文春』での大人気エッセイの連載30年目に突入記念の選り抜き集第2弾。
厳選された55編を読めば90年代の記憶や出来事が鮮やかによみがえります!
名作といわれる「最初で最後の出産記」も収録されています。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『大原御幸 帯に生きた家族の物語』(講談社)発売

d0339881_10560409.jpg


『小説現代』で連載されていた「お父ちゃんのこと」が単行本になりました。
戦後、京都の着物業界で大成功をおさめた天才帯屋として名を馳せた男の語られなかった素顔が、74歳になった娘の目を通して語られます。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『「結婚」まで よりぬき80s』(文春文庫)発売中

d0339881_10560541.jpg


1984年「今夜も思い出し笑い」としてスタートした大人気エッセイが連載30年目に突入。これを記念して選り抜き集が読みやすい文庫で発売になりました。第1弾は、マリコさんの結婚までが綴られた1冊。選び抜かれた58編を読めば、1980年代の様々な出来事が鮮やかによみがえるはずです。
来月には第2弾も発売されます。お楽しみに。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて

■『綺麗な生活』が文庫化

d0339881_10560534.jpg


美容整形クリニックの院長秘書として勤務する30歳の独身女性、港子が主人公の長編小説が読みやすい文庫になりました。異様なほど美に執着する女の生態と禁断の恋の行方は…。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて


■『octo ∞(オクト アクティブエイジング)』(小学館)発売中

d0339881_10560511.jpg


『女性セブン』増刊号にカラー4ページに渡り、「“美”がとれて魔女になる前に」と題した、50代女性に向けたエッセイが掲載されています。60年代の日本映画を代表する女優さんたちの美しいモノクロ写真がたくさん載っています。

詳細を見る
アマゾンにて
セブンネットショッピングにて

高校3年のときの詩 「不思議なこと」

文学部 文集「文圓」三十四号
昭和四十六年 県立日川高校三年

不思議なこと
          林真理子

三日月の日に打ち上げられた
ロケットは
いったいどこに
止まるのでしょう
遊園地のすべり台のように
つるっとすべって
宇宙へ落ちていったら
どうしましょう

恋をしているあの人は
どうして
ため息と涙でいつも
顔をくもらせているのでしょう


高校3年のときの作文 「わたしの好きな人たち」

文学部 文集「文圓」三十四号
昭和四十六年 山梨県立日川高校三年

d0339881_10560495.jpg


わたしの好きな人たち
               林真理子

 歴史物語や伝記を読むと、教科書の中でコチコチの石膏像のような人々が人間の暖かさを持って、非常に身近に感ずることができる。もちろん小説には、作者の主観やフィクションが多分に入っているが、いろいろな本や資料からその人の人柄や生活を想像するのは、とても楽しい仕事だ。そして私は何人かの心ひかれる人に会う事ができた。
 藤原道長さん。この人はすぐ「此の世をば‥…」という例の歌が浮んできて、高慢な人というイメージがあるが「紫式部日記」を読む限りではとても人のいいおじさんである。念願の孫が生まれて大喜ぴで、抱き歩いてばかりいるからよくオシッコをひっかけられる。すると濡れた着物を火ばちで乾かしながら、「うれしいよう、孫ができたからこそこうしてオシッコをひっかけられる。」などとつぶやく。また天皇行幸の際、嬉しさのあまり酔い泣きしたり、娘にからんだりするのを読むと、無邪気といってもいいくらいである。紫式部は彼にスカウトされて、彰子に仕える身分だからそう悪い事も書けなかっただろうし、こうした事もこの権力者の一面かも知れないが、私は道長という名前を聞く時、なぜか幼い孫をあやしている目のショボショボした平凡な一人の老人を連想してしまう。それは打算的な政治家などという形容詞から遠く離れたものである。
 彼の祖先の藤原鎌足さんも私は好きだ。彼にもクーデターを実行した冷酷な政治家というイメージが強いが、万葉集にみられる彼は、男らしい魅力がある。「われはもはや安見児得たり 皆人の得がてにすとふ安見児得たり」というこの歌は、荒々しくて、それでいて道長と同じような稚気をのぞかせた男の愛情というものをよく表現して私が大好きなものである。ここで思い出す歌がある。与謝野鉄幹の「われ男の子 意気の子 名の子 つるぎの子詩の子恋の子 ああもだえの子」というこれまた有名なものだ。つまり軍もすれば、詩もかき恋もする。これが本当の男の魅力だとするのは古代も明治も同じだったのだろう。現代はどうかそれは知らない。
 鎌足に限らず、万葉の人々、飛鳥、奈良初期の人々は非常に魅力的である。後の時代、支配者によって人々の縄となった仏教も儒教もこの時代はそこまでいっていなかった。ものの本によると、この頃の住生活や食生活は鷲くほど現代に似ていたらしい。そのためか人々は大らかで情熱的である。女性の方から堂々と求愛し、天皇から平民まで切々たる恋の歌を読む。それらは、現代にひけをとらない程大胆で顔を赤らめてしまうようなものが幾らかある。
 額田大王は典型的な万葉女性だろう。彼女は言うまでもなく、天智帝、弟の天武帝から愛された女性だが、三角関係という言葉で表現するのには彼女はあまりにも悪ぴれす、深刻ぶったところがない。
「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守りは見ずや 君が袖振る」 この歌から何ものにも束縛されない、おのが意志のままに生きる彼女を想像できはしないだろうか。唯かに彼女は魅力的だったのだろう。彼女は壬申の乱の一要因だという説があるが、うなづける話である。
 ところが、平安時代になると彼女のような魅力的な女性は、ぱったりと姿を消す。時代というものに原因するのかもしれないが、「源氏物語」に象徴されるその頃の女性の、あまりにも受動的で自分というものを持たない様子にはイライラさせられる。理解できない。寝殿造りの豪華絢爛たるリカちゃんハウスの中にいる人形のようだ。しかし更級日記の中で、作者はあの可憐な少女時代、ああ私も夕顔や浮舟のようになりたいといっている。
 一番悲劇的な運命をたどるこの二人は当時の女性から見てそれほど心ひかれる存在だったのだろうか。私はむしろ彼女達の作者の方に、ずっと人間的な魅力を感ずる。紫式部という人は私の想像するのに、少々欲求不満気味のあまり美人ではない未亡人だ。非常な生まじめの中にあの膨大な恋愛小説を書いた情熱がある。もちろん彼女には高い知性と教養があるから、自分を抑えて和泉式部のようにスキャングルめいた事は起こさないが、しかしそれは隠しおおせるものではない。彼女の日記の中で、夜殿上人が若い女房の部屋へ行く沓音が聞こえると、彼女は過ぎ去った青春を懐しんだ歌をよみ、もう恋などと縁がないことがいかにも残念そうである。また道長が深夜、彼女の部屋をたたく章がある。これは彼女にとってはまきに大事件であるはずなのに、この章は短かく返答歌の他には、彼女の気持は全く書かれていない。道長からの昨夜の態度をなじった歌の
返事に、彼女は、あなた様はおたわむれになったんでしょう。私はひどく困惑しましたわといいたげであるが、私は今をときめく道長さまの心をとらえたわ、私もまだすてたもんじゃないわと言った彼女の本心が、何も書かれていないゆえに感ずるのだが、こんな考えは下司の勘ぐりというもので偉大な作家を冒?するものだろうか。ある教師が言った。本当に人から愛され恋愛してぃる者には恋愛小説は書けない。それが書けるのは、失恋したものか恋を知らない者だ。書くことによって現実でありえない事をしだいに美化していくのだと。彼女の場合もこれにあてはまるのではないかと私は思う。中流以上の貴族である受領の娘に生まれ、夫とも死に別れた彼女は、高い身分の美しい男女のきらびやかな恋を描くことによって、現実では満たされない一つの理想の世界を自分で築きあげていったのだと思う。
 彼女よりもう少し前の時代の蜻蛉日記の作者は、理想をつくり出すより現実をふみしめる事によって満たされぬものを晴らしている感じでぁる。最初私は彼女に良い印象を持っていなかった。教科書で初めて彼女の日記に触れた時「かたちとても人にも似ず」という箇所があった。容姿が人並みでないということだ。そういえば彼女の肖像画は鼻がポッテリしていてどうしても美人には見えない。何だか私に似ている感じで非常に親近感を持った。そして授業時間いろいろな彼女の身の上を想像してみた。彼女は美人ではなかったから求婚者がなく、父の倫寧が無理矢理押しつけたのだろう。だから兼家はしょっちゅう外で浮気をしてくるのだ。私もこんなふうになるのかしらと思ってその時間はだんだん気がめいってきてしまったりもした。それほど私は彼女に同情していたのだ。ところがその次の日のことだ。先生にさされてマゴマゴしている私に隣の席の人がサッとトラを渡してくれた。そんなものを一度も持ったことのない私は、非常な興味をもって答え終わってからもそれをながめた。すると彼女の説明にこう書いてあった。「人にも似ずと謙遜しているが実際は本朝第一美人三人のうちの一人と伝えられる」これを読んだ時の私の失望、信じていた友に裏切られた思いだった。「なんていやな女なんだろう、美人でも性格が悪いから夫に嫌われるんだザマアミロ」と全くムチャクチャな事を考えたりした。そしてこの私の浅はかな子供じみた考えは、夏休み彼女の日記の全部に触れることによって消えてしまった。夏の長い一日は彼女の悲劇について十分考える時間を与えてくれた。それは私が考えたように彼女が悪いのでもなく、そうかといって兼家が悪いのではない。男と女の本質的な違いから来るものなのだ。兼家の好色さもこのころの時代の男性としては普通の事だろうし、彼は彼なりに彼女を愛していたと思う。しかしそんな夫を理解することも許すこともできない彼女の気持ちもわかる様な気もするのだ。彼女はあまりにも潔癖すぎたのだ。あまりにも自分の気持ちに忠実すぎたのだ。このどうすることもできない二人の葛藤は現代なお続いている。新聞の身の上相談などでこの種のものはよくお国にかかる。今からおよそ千年以上も前の人間と同じことを悩んでいるのだ。こうしてみると、人間の感情というものは、これからも変わることはないのだろうと思う。
 私は女性だから、やはり強い女性に会うとと嬉しくなる。そして思うことだが歴史の変わりめには必ずといってよいほど女性が登場してくる。北条政子・日野富子・淀君などだ。この三人に共通して言われることは、悪妻、わがまま、ということだがそれゆえに私は彼女選、特に北条政子が好きである。日野富子は弁解の余地なく悪女の仲間入りをしてしまっているが、政治上のやり方はともかく彼女ほどの母性本能は誰でも持っているものではないだろうか。それにひきかえ淀君は芝居や小説で可愛い憐れな女という良い方に解釈されてきた。そして北条政子は今まで少し不当な扱いをされてきたようだが、最近ある女流作家によって新しい解釈がなされてきたようだ。その中の、彼女が頼朝の愛人を家来によって襲わせるところを読んで、私は一辺に彼女が好きになった。なんて自分の心に正直で、激しい人なんだろうと思った。自分の心に正直ということはわがままと言われるが、この時代にあって、とても難しい事に違いない。その小説によると政子は婚礼の夜、ひそかに逃げ出して頼朝のもとへ走っていくのだ。これはいかにも小説くさいが、政子には頼朝と維ばれる前に婚約者がいたのは事実らしい。それにしてもまだ平氏の時代、伊豆へ流されていた源氏である願柄と結ばれるのは並たいていの勇気ではできないし私は頼朝以後、彼女にまつわる黒い説をきっぱり否定したい。彼女ほど自分の心をあらわに出す女はとうてい真の政治家にはなれないのだ。
 強い女ということでは同じ時代に生きた静御前も同じだろう。義経は色の白い美男子というのは定説だが、平家物語によると、背の低い出っ歯だったそうだ。それが本当なら二人のロマンスは半減するが「しずやしず」と頼朝の前で歌った彼女は立派と言わなければならない。テレビなどでこの場面になると私はつい泣けてしまうほどだ。
 こうした強い源氏側の女性に比べて、平家の女性達は典型的な平安の女だろう。
 「女人平家」などを読むと、清盛の六人の娘達は実に優雅に貴族的に育てられたらしい。ゆえに彼女達に、関東育ちの政子のような強さがないのはあたり前かもしれない。
 しかし私は歴史という大きな河にもろく流されていった彼女達に、どうしてもやりきれないものを感じる。それは何のかんのといっても結局この世界を動かしてきた男に対する、女である私のひがみから来るものだろう。
 だからこそ、私は強い人、自分の心に正直に生きようとする人が好きだ。他人の犠性となって自分の感情を、おし殺してしまうような優しさや思いやりも好きだけれど、自己を貫こうとする激しさや強さの方が、もっと好きだ。しかし、日本という国は、「妻理と人情を秤にかけりゃ 義理が重たい男の世界」と唄にもあるように、自分の感情を隠し他人のために奉仕することが美徳だと考えられていたように思う。そういう風土の中で育った私は、やはり他人の目を意識しながら小さく生きていくのだろうか。自分の意のままに生きる力強さが私にあるだろうか。
 ふと空を見たくなって窓をあけた。秋の夜の星は美しい。星というのは何億とあるそうだが、そのうち光って見えるのは幾つもない。歴史に出てくる人々というのは光る星であろう。私は長い間星空を見つめていた。考えることもなく、音もなく、時というものを全く感じなくなった瞬間、私は好きな人達、紫式部や北条政子らが、何百年か前に私と同じように星空を見つめただろうと思った。十二単衣を着た彼女ら几帳のかげから星を眺めているありさまが、はっきりと目に浮かんできたのだった。私は息苦しいほど過去の重みを感じた。そして今私は、過去から未来へと一本の線のような、この宇宙の原則である時の流れというものを思った。それは不思議な感動だった。
 北条政子の事など誰にもわかりはしない。優しい女だったか強い女だったかなど故事をいくらひっぱり出しても、それは本人しかわからないことだ。けれど一つ大きな事実がある。彼女は生きていた。道長も静御前も平家の女達も、せいいっばい生きぬいて一つの人生をつくりあげていった。そして今、真夜中星を見つめる私だけが生きている。私の一生など歴史にのりはしないだろう。目に見えない小さな星で終わるだろう。それでいいと私は思った。
 秋の星は美しくて飽きることを知らなかった。


中学校3年のときの作文 「横浜の夜」

修学旅行記
加納岩ヤ学校 昭和四十二年度 一二年

d0339881_10560479.jpg


横浜の夜
        林真理子

 片手に昼間潮干狩りでとった貝を持ち、昨夜の寝不足と疲れで、
よろよろしながら私は、バスから降りた。
 私達が、最後のバスで、前に着いた人たちは、もうロピーに整列
している。「急がなければ」と思った瞬間、私は敷き物につまづい
て見事に転んでしまった。転んだのは、朝からこれで二回目だ。全
く今日の私はどうかしている。顔から火の出る思いでみんなのあと
をぞろぞろと部屋に向かった。
 高い二段ベッドの並んだ狭い部屋が、私達の一夜の城である。荷
物をとくひまもなく食事の時間となった。食堂へ入って驚いたこと
には、ベルトコンべアで食器が、動いていることだった。セルフサ
ービスと前から聞いていたが、まさかこんなものだとは、思わなか
った。
「学生会館」と名のるだけあって味こそ東京風のあっさりしたもの
で、口に合わなかったが、カロリーといいボリュームといい昨夜泊
まった日光の旅館に比べると、さすがにゆきとどいていた。
 食事が、終って部屋にもどってから私は夕べの、夜ふかしとおし
ゃべりが、たたってひどいかぜ声になってしまった。昨夜は、三時
間ぐらいしか寝ていないので、今夜こそぐっすり眠ろうと目を閉じ
たが、電気が明るくついているのと話し声でなかなか眠れない。
「女三人寄ればかしましい」と昔の人はうまいことをいったものだ
が、この部屋には、三人の七倍もいるのだからそのかしましさたる
やお話にならない。私もその同類に入るらしくみんなの話し声を聞
くと、さっきのけなげな決心はどこへやらじっとしていられなくな
つた。かすれた声でしゃべれるだけしゃべってうとうとする目で、
遊べるだけ遊んだ。頭が、がんがんする。ふととなりのベッドをの
ぞくと渡辺さんが、かすかな寝息をたてて、静かに眠っていた。
「もう寝よう」と私は思った。
 目をとじて深呼吸した時なぜか今、—全く不思議なことに——初
めて修学旅行で横浜に来ているのだという実感が、ひしひしと胸に
伝わってきた。そして、私はいつのまにか深い眠りについた。


小学校6年のときの作文 「私がもし加納岩小学校の校長なら」

「青い雲」卒業記念文集
昭和四十年度加納岩小学校第六年三組

d0339881_10560417.jpg


私がもし加納岩小学校の校長なら
                      林真理子

 第一に校舎を建てかえます。
 クリーム色の細長い、ステキな校舎です。まわりは 緑の木かげ
でベンチがあります。その緑の中に図書館があります。体み時間に
なると 生徒たちが、小鳥の声を聞きながら、ベンチにこしかけた
り しばふに ねころんだりして本を読みます。本は破れているの
は、一さつもありません。みんな今買ってきたばかりのようです。
だって 私の学校の 生徒は いい子ばかりですもの………。
 制服も作ります。女の子は、ベレーと、白いブラウス、こんのジ
ャンパースカート。それに、校章のワッペンのついたこんの上着。
男は、白いワイシャツに、こんのズボン それに女の子と同じ上着
にペレー帽。みんなとっても頭がよくてかわいらしい子たちばかり。
 給食の時間です。きょうは、ミルクにホットドック。みんな仲よ
しの友だちと 緑の木かげの中でいただきます。時々 子りすや
小鳥が かたや手にとまって ごちそうを ねだります。みなさん
もういいですか。おかわりは、いくらでもありますよ。ガツガツす
る子は、 一人もいません。みんな お行儀よくいただきます。
 スクールバスだってあります。みんな歌を歌いながら 学校へ
行くんです。
 プールはもちろんあるし 夏は、高原の湖のほとりの 合宿所で
冬は スキー場の合宿所で 遊びながら 勉強します。
 音楽室も デスクオルガンどころか デスクピアノで 一人一台
づつ グランドピアノが つくんです。
 これが 私の夢です。ちょっと むりかしら。でも私は しょう
来 りっばな 教師となって この 大すきな 加納岩小学校で勉
強を 教えたいと思っています。


小学校3年のときの作文 「わたしの家」

文集「青い雲」2

昭和三十七年度加納岩小学校第三学年

d0339881_10560408.jpg

わたしの家
           林まりこ

 かいだんを、トントン、上がれば、だれだって、びっくりします。
二かいは、まるで、おとぎの国みたいです。
弟の、お気に入りのロポットが「やぁ、いらっしゃい。」と、いっ
ているみたいです。そして、小さな、三面きょうが、来た人の顔を
うつします。「わあっ、すごぃなあ」わたしはさっそく、じまんの、
とても、大きい、ままごとを出します。
だれだって、こんな、すばらしい、へやをもって、いないでしょう。
ひき出しは、チョヨレートや、おかしで、いっぱいです。
本立には、本が、いっばい、つまっています。そして、タンパリン
や、カスタネットのがっきが、あります。
 けれど、こんな、たのしい、へやも、わたしと、弟の、けんかの
場所に、なります。

「なんだ、おねえちゃんの、バカ。」
「ヘヘーンだ。なんだ、ブタ。」
 やがて、とっくみあいが、はじまります。けれど、年の、せいか、
いつも、わたしがかちます。
 けれど、 一つ、つごうの、わるいことが、下で、お茶を、のんで
いる、おかあさんに、きこえるのです。
あとで、大目玉を、もらう、わたしの、そばで、「二ヤニヤ」わら
いながら、お茶がしを、つまんでいる、弟を、見ると、とても、に`
くらしくなります。
 おせっきょうが、終わると、すぐ、かし入れを、見ると、わたし
の、大すきな、ブドウカステラは、かげも、形も、ありません(ハ
ハーン、これは、かずおが、もって、いったのだな)と、思って、
急いで、サンダルをはいて、にわへ、行くと、もしきの、かげでか
ずおが、おいしそうに、カステラを、たべていました。「かずお!」
わたしが、大きな、声で、いうと、弟は、びっくりして、にげよう
と、しました。わたしは、ようふくの、えりくびを、つかんで「お
かし、持ってるんでしょ」と、きつい声で、いうと「うん」と、
いって、プドウカステラを、三、四つ、出しました。
 わたしは、ちょっと、弟が、かわいい、気が、したけれど、だま
って、かずおの、頭をたたきました。
 その夜、おかあさんに「もっと、かずおを、かわいがらなきゃ。
あんないい、弟は、めったに、ないよ。」といわれました。
 わたしは、きえそうな声で、「うん」と、いって、もう、夜もふ
けた、おとぎの国へ上がって、いきました。


小学校2年のときの詩 「かりん」

文集「青い雲」

d0339881_10560570.jpg

昭和三十六年度加納岩小学校第二学年

かりん
        林まり子

きいろい まるい
  ふとった からだ
どこから 見ても
  まあるい からだ
中には おいしい みが
  はいっているから ふとっている
かりんは みかんの
  おすもうさん


小説『ワンス・ア・イヤー』に寄せた中森明夫さん解説


d0339881_10560579.jpg

 この本を手にされた貴女は幸せです。もし貴女があの八〇年代に二〇代を過ごしたことのある人なら、きっと「ああ懐かしい」と思われることがあるだろう。もし貴女がそれよりもっと若い女性なら「へえ、こんなことがあったんだ」といくつもの発見をすることだろう。
 この本を手にされた貴男は幸せです。もし貴男が一度でもあの八〇年代を「生きた」ことのある人なら、かつての時代に貴男とは別の性を持つ者らが「いかに傷つき、いかに戦ったか」をやっと気づくことになるだろうから。
* * *
 大学は出たけれど、就職難で風呂なし共同トイレのアパートに住みアルバイト生活を続けるサエない女のコが、カタカナ職業に憧れ、コピーライターとなって、初エッセイ集が大ベストセラーを記録−−やがて時代の寵児から直木賞作家へ・・・・・・の軌跡を描いた小説『ワンス・ア・イヤー』を読めば、誰もが著者・林真理子その人のサクセスの道程を思い浮かべることだろう。そうなのだ、これはいくつもの自伝的な小説を発表した林真理子の、いわば前半生の“総集編”とでも呼びうるような作品である。しかも大学を卒業したての二三歳から遂に結婚を果たす三六歳まで一歳に一章を充てるクロニクルの体裁をとっていて、さながらコマ落とし映像で彼女が成功への階段を駆け昇ってゆく姿を見るようだ。
 林さんは一九五四年生まれだから、それは七七年からジャスト九〇年までのこと、ちょうどまるごと八〇年代を舞台にしていることがこの小説の重要な隠し味となっている。それはテクノヘアやパックマン、イエロー・マジック・オーケストラやスーパーボールの服etcといった当時の時代風俗を表す固有名詞が頻出するということばかりではない。〝林真理子スゴロク〟というのを御存知だろうか?僕たちライターの世界では「モノカキ・スゴロクの上がりは作家だ」とよく耳にするが、〝林真理子スゴロク〟はそれをもっと精緻にリアルにしたものである。フリダシは一介の女子大生、そこからコピーライター養成講座を経て広告製作会社のアシスタント、コピーライターとして一人立ちして次にエッセイスト、ベストセラーで「三つススム」、テレビ文化人、少し疲労して「一回休み」、やがて作家となって、遂に直木賞(!)・・・・・・という仕組み。本書をお読みになれば、いかにして林真理子がこのスゴロクのコマを進めていったかが理解されるだろう。だが、彼女がエラいのはスゴロクに勝利したからではない。実は、このスゴロクを作ったのが他ならぬ林真理子その人であったからこそ偉大なのである。
 林真理子はあの八〇年代に道なき道を駆け抜けた。それはいわば障害だらけの崖っぷちやデコボコ山中を一人ローラーで踏みならして道を作る作業だった。やがて女たちは誰もが林真理子の通った後を舗装された道路のようにして走り出したのである。ある者は南青山に住みカタカナ職業ライフに憧れた。またある者は本音を武器とする女コラムニストとなって名を馳せた。さらにある者はテレビ文化人からやはり直木賞をめざして小説を書き始める。・・・・・・すべて林真理子以後の女たち、そう、〝林真理子スゴロク〟の参加者たちであった。
 さて、林真理子を疾走させた原動力は何かといえば、それは〝欲望〟である。成功したい。普通のままでは終わりたくない。すべてを手に入れたい。今ではあたりまえとなったこのような考え方を、女としてはじめて口に出したのこそが林真理子だった。
 八〇年代は「女の時代」とも呼ばれたが、それはフェミニズムの台頭でもなければ男女雇用機会均等法でもない。女たちが歴史上はじめて「欲望を露にする」ことのできた時代こそが、八〇年代なのだ。その先頭に立ったのが林真理子であり、あるいは松田聖子だった。林真理子の登場から少なくとも五年遅れで「キャリアとケッコンだけじゃない」Hanako世代が現われ、トレンディ・ドラマでW浅野が遊び、アッシー、メッシー、ミツグくんを従えたオヤジギャルと呼ばれる快楽至上主義型の女たちが跳梁跋扈する。「セックスでキレイになる!」女性誌の見出しは女たちの欲望を全肯定した。あの頃、女たちの〝欲望の革命〟が勃発して、林真理子こそは八〇年代のジャンヌ・ダルクだった。林真理子の本を読んで、はじめて女たちは自らの欲望を肯定する術を知ったのである。欲しいものを「欲しい!」と口に出して言うことができたのだ。
 なんということだろう。林真理子という一女性の欲望が、その後のすべての女たちの欲望を、時代の欲望そのものを体現してしまうということ。そんなマジックがこの『ワンス・ア・イヤー』という本を、よくできた面白い小説であることを超え、特別な輝きを持つ神話の如きものとしている。だから97年現在、コギャルと呼ばれる欲望肯定的な少女たちに対して、僕はこう言うだろう。
「君たちがあたりまえに選び取っている態度は、ずっと昔からこの国にあったものじゃないんだ。それは八〇年代に林真理子という人が始めたことなんだよ。ほら、読んでごらん、この『ワンス・ア・イヤー』って本の中に書いてあるから」
 自らの過去を記すことが、そのまま時代の証言となってしまう・・・・・・という林真理子の小説の秘密がここにある。林真理子は、自身が紫式部であると同時に光源氏だった。マーガレット・ミッチェルであると同時スカーレット・オハラだった。池田理代子であると同時にオスカルであったのだ。時代という名の舞台で、ペンと我が身でみごと自作自演の劇を演じ切ってしまうということ!
 こんな離れ技は、自らが砂漠の救世主として現れその活躍を記しもした『アラビアのロレンス』、そう、あのT・E・ロレンスか、はたまた傑出した弟と友に〝太陽族〟という劇を生き・書き・演じ分けた石原慎太郎か・・・・・・そんな稀な例としてしか僕は知らない。

 ところで八〇年代はいったい、いつ終わったのだろう?ベルリンの壁の崩壊した日か、ソ連邦の解体した時か、それとも昭和天皇の崩御の日か?そうではない。八〇年代が「女の時代」である限り、それはもうわかりきっていること。
 そう、林真理子が結婚した日である。
 そうだった。〝林真理子スゴロク〟のアガリは「直木賞」ではない、「結婚」だったのだ。大学は出たけれど、何ひとつ持たないサエない女のコが、八〇年代に欲望だけを武器にして地位も名誉も名声もお金も男さえも手に入れたけど、ただひとつ結婚だけはできない・・・・・・それが林真理子の物語だったはずである。幸福という名のジグソーパズルの最後のワンピースが埋まらない、それが故に彼女はさらに欲望に駆られもするし、女たちはもっと共感を寄せた。
 だが、ある日、ふいにベルリンの壁が崩壊するように・・・・・・その空隙は埋められる。そう、くっきりと理想の形をした〝結婚〟というラストピースによって。みごと林真理子のジグソーパズルは完成して、その瞬間、女たちの八〇年代は劇的に終わりを告げたのだ。
* * *
 林真理子さんと対談させていただいた折り、僕はどうしても訊きたかったある質問をした。
「林さんはすべて望むものを手に入れたように見えますが、この上、何が欲しいですか」、と。すると、しばしの思案顔の後、彼女はこう答えたのだ。「もう一度、結婚したいですね。かといって再婚でもなければ不倫でもない。今の結婚は手にしたまま、もう一度結婚できる制度になるのが理想的として。もう一度、結婚したい!」うーむ、それほどいいものらしい、結婚ってヤツは・・・・・・。
 林真理子さんとは何度かお逢いさせていただいたけれど、そのつど心楽しい思い出ばかりである。素顔の愛らしい大人の女性だ。この気さくでやさしい人から、どうしてあんな魔術的な物語が紡がれるのだろう?とりわけ印象的だったのは若ノ花関と美恵子さんの結婚披露宴でのこと。篠山紀信さんや『アンアン』編集長の淀川美代子さん、そして林さんと僕たちは同じテーブルに腰掛けていた。お色直しをした新郎新婦がしずしずと現れると、宴客は起立して出迎える。ウェディングドレスに身を包んだ純白の花嫁は輝くばかりに美しい。すると、華やかでりゅうとした着物姿の林さんが、思わず「わあ、感激しちゃうわあ」と声を上げた。見ると、ああ、なんと目にいっぱい涙を浮かべていらっしゃるではないか・・・・・・。
 この本を手にした貴方は幸せです。これは自らの欲望が時代の欲望を体現してしまった一人の〝運命的な女(ファム・ファタル)〟の物語。彼女は生き、愛し、書いた。それはペンとインクとばかりでない。自らの幸福のみならず、人の幸福に対してさえひときわ感応的な女性の目に浮かべた・・・・・・幾滴かの水分によっても書かれている。


林真理子 名言集


心が疲れたとき、生き方に迷ったときに、元気にしてくれるマリコ語録
林 真理子 名言集

「美しい和の食器は、きちんとしたひとり暮らしをしている女の、心の証のようなものだ」




「口紅をつけなくても、たっぷりおいしいものやお酒を入れた後の唇は、ばら色に光って濡れている。ああいうのって、すごくセクシーだと思う」


「まあ、パーティなんていうのも、いっときのものである。素敵なドレスを着たとしても、シャンパンも明日になれば消え去るものである。が、このはかなさは、とても甘美で楽しいものだ。女が美しくなるために欠かせない多くの要素を含んでいる」 


「美しい女は、料理をしている最中も美しい」 


「自分で稼いで、一本のワインを気がねなく買うことが出来る。そして気に入った仕事と気に入った女友だちを何人か持っていれば、年をとっていくことも捨てたもんではない。我ながら意外なほど、充実した日が待っている。」 


「やはり美しさを自覚し、女らしさは何たるものか追求している人たちに混じり、切磋琢磨していくことが、その後の幸福を左右していくのではないだろうか」 
『踊って歌って大合戦』(文春文庫)



「美貌こそ女の歴史であり、いちばんわかりやすいパーソナリティなのである」 


「気をつけよう、手抜き一分、イメージ一生」 


「女性の服装の差異というのは、からだの両極に顕著に表れる。ヘアスタイルと足元あたりに」 


「男を待つ十分、二十分という時間は、女を飛躍的に美しくする。肌は水を吸い上げたようになり、目は輝きを持つ」 


「私がいちばんこだわっているのは、髪とネイルと足元です」 
『Precious06年6月号』(小学館)



「美人は輪郭だと誰かが言ったが、確かにだぼだぼの二重顎の美人はいない」 


「人間は一生、幸せのままでいられるはずはない。と同じように、一生不幸のままでいるはずもない」 


「中年からの美しい肌は、自立した女の証でもある」 


「頑張ってキャリアを積んできたんだもの。それだけの努力をしてきた人には、内面からにじみ出る、幸せ感あふれる洗練された美しさを手に入れることができる」 
『Precious06年6月号』(小学館)



「センスを磨き、腕を磨き、体も磨いている女のことを、私はキレイなコと呼ぶ」 


「女を変えるのは男かもしれないが、女が育つために仕事はある」 
『Domani01年6月号』(小学館)



「気力、知力、体力、財力を身につけた40代女性は、本当にキレイ」
『Precious07年4月号』(小学館)



「恋はするものではなく、〝こんなつもりじゃなかったのに〟と戸惑いながらも、仕方なく落ちていくもの」
『女性セブン06年7月13日号』(小学館)



「自分の美しさは自分にすべて責任があるんです」 
『Precious04年4月号』(小学館)



「他人の恋愛にむやみに興味を持ちたがる女というのは、決して主人公になれないのだ」 


「夫にもらったお金で美容院に行くより、自分のお金を遣うことで、女性はキレイになっていくんだと思う」
『Precious07年7月号』(小学館)



「したことの後悔は、日に日に小さくすることが出来る。していないことの後悔は、日に日に大きくなる」 
『婦人公論02年7月22日号』(中央公論新社)



「昔のほうがキレイだった、幸せだったと思う人生はつまらない」 
『Precious05年11月号』(小学館)



参考本 『生き方名言新書 1 林真理子 もっと幸せになっていいよね!』(小学館)など

d0339881_10560301.jpg



女って怖い…男と女の本音を知る本

作品名発行年月日発行元判型価格(税抜)
聖家族のランチ2005.11.25角川書店文庫¥552
2002.11.05角川書店単行本(注2)
美人で有名な料理研究家のユリ子、夫、娘、息子、それぞれ秘密を抱えた家族の崩壊と再生の困難さを描いた衝撃のストーリー。家族・恋愛・不倫・宗教・ホラー・サスペンス……様々なテーマが見事に料理され、ひとつの作品に仕上がっています。物語の後半からの驚きの急展開は、震えるような怖さの結末に一気に向かっていきます。
初夜2005.06.10文藝春秋文庫¥467
2002.05.15文藝春秋単行本¥1,333
婚期を逃した娘の子宮手術前夜、娘の横で眠る父の悲哀と妄想を描いたタイトル作「初夜」を始めとした11篇の美しく恐ろしい恋愛官能小説集。究極の官能、不倫、愛、憎しみ……がたっぷり。男と女の恋愛の泥沼のような世界に浸れます。
断崖、その冬の2000.02.01新潮社文庫¥400
1996.06.30新潮社単行本(注1)
北陸のテレビ局の看板アナウンサーは今年34歳。ラジオへの転属をほのめかされ、孤独を味わう日々を過ごしていたところ6歳年下のプロ野球選手があらわれて……。北陸を舞台にしていますが、冬の北陸と主人公の心の動きが見事に重なります。冬の北陸に出かけたことのある人もない人も冬の冷たさが身にしみます。
怪談 男と女の物語はいつも怖い1997.08.10文藝春秋文庫¥448
1994.09.20文藝春秋単行本¥1,262
恋がふとした拍子に恐怖に転じる10の恋愛物語。男にとって女は魔物。男と女の関係から生まれる恐怖は、すぐそこに……。巧みな心理描写に思わずゾッとしてしまいます。フジテレビの「恐い女シリーズ」第1弾として3つの短編がドラマになりました。財前直見さんらが出演しています。
男と女のキビ団子1995.09.13祥伝社文庫¥562
1992.10.30祥伝社単行本(注1)
男と女の「機微」を鋭く描いた10編の短編小説集。「理想」の幸せを求める女たちの「現実」とのバランスが崩れた時、衝撃の展開を迎えます。結婚、同棲、不倫、昔の男……様々な大人の恋愛模様は、読者の予想を裏切る展開で、女の怖さがリアルに感じられます。
※発行年月日のうち、日にちが不明なものは「00」としています。
(注1)2014.4.1現在発売されていません
(注2)品切れ 重版未定

新作情報

新作情報をもっと見る

林真理子のあれもこれも日記の携帯

携帯にメールを送る

林真理子のあれもこれも日記リンクバナー

林真理子ファンクラブサイト、メンバー募集中!

サークルに参加する
林真理子 林真理子 林真理子 林真理子 林真理子 林真理子 林真理子 林真理子